クライアントは実に,北海道に多く自生する楡の木のような大きな人柄であった.
その人柄と呼応するかのように奔放かつ伸びやかな空間が配された.
そこには眩しいほどの光が降り注ぎ,風が心地良く抜ける.
素材は簡素ながらも白を基調とした趣深いものを吟味し,吹抜に架けられたブリッジなど特徴ある幾つかの形態は光や翳と戯れつつ空間へ命を吹き込む.
全てを受け入れるかのような形の平面は中庭を軸として機能し,内部が外へと浸透してゆくような錯覚を与える.
伸びやかで開放的な佇まいは住み手に相応しく,北海道らしい住宅に仕上がったように思う.