【審査委員の評価】
北海道の住宅を象徴していた住宅供給公社による住まいの記憶に寄り添いながら、現代における北海道のスタンダードを模索して生まれた住宅である。記憶はどこに宿るのか、それは時に素材の質感であったり匂いであったり、あるいは家具の場合もあるだろう。それをここでは薪ストーブや素材に見出そうとしている。現代の生活に求められる環境性能は高めながら、薪ストーブを中心に組立てたおおらかな空間は、北海道らしい素朴さと暖かみを併せ持った空間となっている。地域性は、今後益々重要なテーマになるだろうが、こうした一人一人の記憶の継承に向けた取り組みは、将来に向けてより大きな価値を持つだろう。
担当審査委員| 手塚 由比 小見 康夫 千葉 学 山 健太郎